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米大統領にトランプ氏 原油市場、政策を注視 OPECの議論に影響も

  米大統領選は共和党のドナルド・トランプ候補が勝利し、予想外と受け止めた原油市場は米国産標準油種(WTI)が一時、1バレル43㌦台まで急落。日本時間10日夕の時間外取引では45㌦前後まで反発した。今後、同氏が表明するエネルギー政策によっては原油相場も波乱含みの展開が予想され、石油輸出国機構(OPEC)総会の議論に影響するとの見方もある。

  「最強の経済をつくる」。トランプ氏が9日、支持者を前に勝利宣言すると歓喜に包まれた。当選確実となった時点から一転、大型減税や大規模財政など景気刺激策への期待で、原油先物相場に買い戻しが入った。マーケット・リスク・アドバイザリーの新村直弘代表は「期待先行だ。経済や外交など政策は不透明な点が多い」と警戒する。

  需給が均衡に向かっているとされる原油市場に影響しかねないのが「原油・ガスの生産を抑制する規制を緩和する方針を掲げている」(住友商事グローバルリサーチの舘美公子氏)ことだ。環境への影響が懸念される米国のシェールオイルには追い風で、需給がさらに緩む可能性も出てくる。トランプ氏は化石燃料の自給率向上を掲げ、中東諸国への依存度低下を狙っている。

  外交手腕が未知数なことから、核開発をめぐる制裁が解除されたイラン政策の動向にも注目が集まる。トランプ氏は対イラン強硬派で「両国の対立が再び強まれば、原油の供給途絶懸念が意識される」(石油天然ガス・金属鉱物資源機構の野神隆之氏)。制裁が強化されれば、イランの原油輸出が減り、原油相場の上昇に働きやすい。

  同氏の政策が「OPECの意思決定に影響を与えかねない」との観測も浮上している。OPECは9月下旬に8年ぶりの減産で合意し、11月30日の総会で各国の生産枠を決められるかが焦点だ。

  現時点では産油国の利害が対立し、何も決められないという見方が市場の大勢を占める。ただトランプ氏の政策により原油相場が混乱する可能性も残っている。価格が安定しなければ「サウジアラビアは他の産油国に原産国に減産協力を取り付けやすい」(エレメンツキャピタルの林田貴士社長)との見方も出ている。

  選挙戦中は反イスラムの言動を繰り返してきただけに、サウジなど中東の産油国と対立が先鋭化する可能性もある。「米国はサウジから原油購入を停止する一方で、サウジが米国債を売却する可能性もある。長期金利の上昇で、株式が売られ景気を冷やすリスクシナリオもある」(新村氏)

  国際エネルギー機関(IEA)などが示す原油の需給は2017年にバランスに向かう、との見方にも流動的な面もある。トランプ氏が米国の国益を第一に考える保護主義に傾けば、世界経済に影響を与え原油需要を左右しかねない。原油相場が荒い動きとなる展開が続きそうだ。

(日本経済新聞 11月11日付  より)

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