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エチレン 北東アジアでタイト継ぐ G20首脳会議控え操業停止 中国、在庫積み上げ

  エチレンは北東アジアでタイト基調をしばらく継続しそうだ。足元、シンガポールでシェルに続きエクソンモービルでもトラブルが発生したもようで、域内への供給量が減少。これに加え、中国では今年9月の主要20カ国・地域(G20)首脳会議を前に周辺工場へ操業停止措置がとられる予定で、在庫積み上げのため、すでにエチレンの駆け込み需要が出始めているもよう。日本国内を含め、今後もアジア各所で定修が続くことから、これが落ち着く秋頃までは引き締まった状態が続くとみられる。

  シンガポールでは、先月末にエクソンモービルが保有する年産能力100万トン規模のナフサクラッカーがトラブルに見舞われ、その後修繕に入ったもようだ。同所では昨年11月にシェルのプラントも故障により停止し、原作も復旧作業が行われており、域内の需給バランスがたいと化している。

  さらに、中国での一時的な需要増加もひっ迫に追い打ちをかける。正確な時期は明らかになっていないが、G20開催予定地の杭州の周辺で工場の稼働に制限がかかる見通し。生産者はこれを見越した在庫備蓄に動き出しているもようで、エチレンの需要が一時的に増加傾向となっている。

  需要面ではまた、高止まりするエチレンを使っても現状は収益が見込めるスチレンモノマーや塩化ビニルモノマー向けのニーズが堅調なようだ。

  こうした背景から、エチレンのアジア市況も強含んでいる。6月上旬に1トン当たり1050ドルほどだった価格は足元、1100ドル台に上昇してる。ナフサとのスプレッド700ドル前後といぜん高水準を保っている。

  日本でもひっ迫状態が続く。今年は各社の定修が集中し秋頃まで順次実施されることから、実質生産能力はフル稼動で650万トン程度となる見込みで、昨年から40万トンほど少なくなる。その分輸出を削るとみられ、1〜6月の生エチレンの輸出量は2割程度減少した。

  これに対し、誘導品では輸出が堅調なポリエチレンの内需が1〜2%程度の伸びで推移しており、国内のエチレンが不足している状態。5月までに輸入が3万トン程度に上っている。足元では、三菱化学・鹿島のエチレン設備の定修明けが当初計画の7月1日から約2週間の見通しで延期されている。

  また、韓国でも日本同様ここまでプラントの新増設が途絶えているうえ、誘導品設備が立ち上がったことも相まって、エチレンの輸出が減少へ向かっている。現状では昨年比3分の1ほどとなるペースとなっている。

  タイト感は秋口ごろまで続きそうだ。シェルは7、8月にも再稼動するとみられているが、生産を抑えていた誘導品設備も立ち上がることから、エチレンの輸出が急増することはなさそう。また、8月には台湾FPCなど、10月ごろまで域内で定修が予定されている。

  ただ、北東アジアでは11月には定修がゼロとなる。昨年も定修終了後に需給が緩和し価格も弱含んだことから、今年も11月〜12月に同様の傾向となるとの見方がある。誘導品の市況にも影響を与える可能性がある。

(化学工業日報 7月12日付  より)

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